Batak Bespoke Tailor
bags of tailor's Knowledge
▇ ここは、みゆきストリート。
「バタク日比谷」の前を東西に走る街路があります。日比谷公園から旧築地市場へ抜けるおよそ1.2kmの道のり。銀座の中心を貫く幅約9mの都道。外堀通り面した帝国ホテル東京からこのストリートは始まります。日比谷公園を背に歩くこと2〜3分で「バタク日比谷」が左手の視界に入ります。通りの名は、「みゆき通り」。銀座の歴史を彩るストリートであり、日本の服装文化・風俗を語るうえで欠くことのできない街路のひとつです。
▇ 江戸湾の入江で。
江戸時代の初頭、「バタク」がある日比谷界隈は湿地帯と江戸湾の入江(日比谷の入江)で構成されており、平川(現・神田川)の河口となっていました。この江戸湾から現在の日比谷周辺にまで到達していた入江を埋め立てる公共事業が、江戸の都市づくりの基本になったと言います。江戸後期の古地図を見ると、武家屋敷の間を縦横に走る道などが、現在とほとんど変わらぬ配置になっているのには驚かされます。その中のひとつである「みゆき通り」も、江戸後期に現在と同じルートとレイアウトがほぼ確定されていたのです。明治天皇の治政下になると、築地にあった海軍兵学校や海軍大学へ天皇が公務等で出向く際、常時通る道として「みゆき通り」が選定されています。以前は「山下通り」と呼んでいましたが、「御(天皇)」が「行く」=「御幸」=「みゆき通り」の呼称に変わっていきました。当時より文明開化のトレンドを牽引する界隈として、ハイカラなショップが軒を連ねる場所に数えられていました。というのも、「みゆき通り」と「銀座通り」と交差する街路には「恵比須屋」「布袋屋」と言った高級呉服店が出店し、日本橋と並ぶファッション・ストリートの様相を呈していたからです。
▇ 3カ月のファッション・ムーブメント。
高級呉服店が並んでいた「みゆき通り」が、ふたたびファッション・ストリートとして脚光を浴びるのは、戦後の高度経済成長期まで待たなければなりません。まだ男がお洒落をするなんてけしからんと言われていた時代。VANがデザインした日本的アイビー・ルックを着る都心の高校・大学生が、日がな一日「みゆき通り」を徘徊している様子をメディアが大々的に喧伝したのです。彼・彼女たちは「みゆき族」と名付けられ、時代の寵児のように扱われました。‘64年の夏季に顕在化したためか、バミューダショーツや半袖シャツなどのラフなアイテムを着た彼・彼女たちはその年の秋には姿を消します。先の東京五輪を前に行われた首都クリーン活動の一環として、警察による一斉補導が実施され、瞬く間に銀座から追い払われてしまいました。しかし、そのスタイルと精神は日本全国に波及し、「みゆき通り」詣(もうで)が地方に住むアイビー・ルックの信望者の間で続いたと言います。
▇ みゆき通りの老舗ホテルとビスポーク・テイラー。
この3月、「みゆき族」のシンボル的存在となっていた「テイジン メンズ ショップ(テイメン)」の閉店情報が新聞やSNSを通じて発信され、世間を驚かせました。当時の若者はいまや70歳代以上。もちろん今も、「みゆき通り」の散策を楽しむかのように、この歴史のある街路をそぞろ歩いていらっしゃいます。現在、「みゆき通り」は銀座・日比谷の再開発によって大人の品格が薫るエリアへと、街路のあり方をさらに洗練させようとしています。その最終完成形を担うと目されているのが、「バタク日比谷」の真向かいにある国内屈指のホテル「帝国ホテル 東京」の全面建替え(2036年完成予定)です。3年前に完成した「東京ミッドタウン日比谷」による街の活性が、老舗ホテルのフルリニューアルを経てどのようなカタチで仕上げられていくのか。この街路でビスポーク・テイラーを営む「バタク日比谷」としては、この街の品格にふさわしい存在であり続けながら、お客様と一緒に大人の街の変化を楽しんで行きたいと思っています。
▇ 20世紀最高のスーツ。
GQ誌により20世紀における最高のスーツであると賞賛されたのが、映画「北北西に進路を取れ」で主演のケーリー・グラントが着たあのスーツです。映画業界・ファッション業界のみならず、スーツを日常着とするビジネスマンの世界でもこのスーツについて賞賛を述べる人は少なくありません。バタクでもこのスーツを範にしたいというビスポークのオーダーを数多く受注してまいりました。では、なぜ、ケーリー・グラントが着たグレイのグレンチェック・スーツが人々を魅了するのでしょうか。また、メンズ・ウエア史に多大な影響を与えたと欧米のメディアが指摘する理由はどこにあるのでしょうか。テイラーの視点で探っていきたいと思います。
▢ 仕立てはサヴィルロウ。
まず、件のグレイ・スーツを仕立てたのはどこのテイラーだったのでしょうか。欧米のメディアの見解では、サヴィルロウの「ノートン&サンズ」(注1)、同じくサヴィルロウの「キルガー・フレンチ&スタンバリー」(注2)、さらにビバリーヒルズのデザイナー「クエンティーノ」の名前が上がっています。この中で、ホテルのシーンについては「クエンティーノ」のラベルが認識できますが、これを「キルガー」は否定し、自店が手掛けたと主張しています。実はこのホテル・シーンのスーツ、つまりあの有名な軽飛行機に追われる時に着ていたスーツは他のシーンのスーツと微妙に違うことにお気づきでしょうか。作中2パターンのカットが確認できることから、いくつかのテイラーがかかわっていたのかもしれません。ちなみに「キルガー」はケーリー・グラントのパーソナル・テイラーであり、直線的なカットを得意としていました。また、当時、グラントが影響を受けていたといわれるウインザー公のテイラーのひとつでもあり、公を担当していた「キルガー」のアーサー・ライオンというカッターがグラントも担当していたと言います。
注1:「ヴァニティフェア」誌の見解
注2:「GQ」誌の見解
▢ 英米混成のミッドセンチュリー・ルック。
「キルガー」の仕立てだと仮定した場合、サヴィルロウのスーツでありながら英国的なスタイルとは言いがたいカットをどう解釈すればいいのでしょうか。実はケーリー・グラント、作品や役柄のキャラクターは違っても、この時期に着ているスーツはいずれも非常に類似性の高いカットなのです。しかも、作品やキャラクターに合わせて非常に細かな微調整を施しています。太いトラウザーズに’50年代にアメリカを席巻したボールドルックの特長が反映されてはいるものの、上衣はと言えばフィットした構築的なブリティッシュ・スタイルで、’50年代後半から流行り始めるナチュラル・ルックのニュアンスも色濃く持ちあわせているのです。やはり、世界の市場をターゲットにしているハリウッド映画であり、舞台はアメリカ・ニューヨークということを考えると、英国スタイルというよりもニューヨーカー的なビジネス・スーツが求められたのでしょう。
▢ 役柄に合わせた、微妙なドレープの調整。
彼の当時のスーツスタイルの特長は、「長い着丈」「肩に少々のパッド」「シングルの3ボタン段返り」「ゆったりとした太めのトラウザーズ」「絞り量の少ないウエスト」などですが、役柄に合わせて微妙にラペルの幅を変化させたり、肩パッド量を増減したり、上着のゆとり量を調整したりしています。「噂の名医(‘51年)」あたりから、スーツに興味がない人が見ても何となくグラント風とわかるこのスタイルは、「泥棒成金(’55年)」「めぐり逢い(’57年)」「月夜の出来事(’58年)」そして「北北西に進路を取れ(’59年)」まで続くわけです。どのように役柄に合わせて調整しているかというと、「泥棒成金」や「めぐり逢い」の主人公のように働かなくても悠々自適な暮らしをしているキャラクターには、胸から肩にかけてのドレープの余裕をたっぷり取り、ゆったりとした優雅な雰囲気に仕上げます。片や「北北西に進路を取れ」のニューヨークで広告業を営む主人公が着るスーツは、ビジネスマンらしさを演出するために、胸から肩にかけてのドレープを抑えてアクティブな雰囲気に仕立てていることが見て取れます。このような微妙なドレープによるフィッティング調整のアイディアは、キャラクターに対する徹底したこだわりとリアルな人物を描く深い洞察、高度な仕立て技術がなければ中々成立するものではありません。
▢変わるアメリカ社会。
「 北北西に進路を取れ」のスーツが素晴らしいのは、’50年代という時代がもたらした社会的かつ文化的な変革を投影している点にもあると思われます。戦後の’40年代から続く華美なメンズ・スタイルの潮流が、簡素化へ向かう’50年代後半。クルマが大衆に普及し、自動車通勤の増加によって郊外生活が生まれ、石油製品(プラスチックや化学繊維)の登場により規格大量生産の商品が当たり前の存在になります。当然、この映画の舞台となる’50年代の終わり頃から注文服(ビスポーク)も既製服にとって代わられ、この流れは’60年代初頭のより簡素化が進んだミニマル・スタイル(グラントはサヴィルロウ仕立てのサックスーツでこれを表現)へと移っていくわけです。ケーリー・グラントの’50年代の10年間に各作品共通のスタイルで通したスーツが魅力的に映るのは、おそらくこうした時代の変革と呼応してビスポーク=誂える文化が最後の輝きを放ったからではないでしょうか。しかも、アメリカというサヴィルロウのビジネスを支えている、新たな大市場を予感されるシンボリックな存在に思えたのかもしれません。
▇ 現代には存在しないスペックの、ヴィンテージ服地。
ヴィンテージ服地と言っても、’70年代のストック品は異質だと思われる方が多いようです。ご年配の方なら、時代がエキセントリックに傾いた若者文化の産物をイメージするかもしれません。しかし、「あるところには、ある」。’70年代のヴィンテージ・ストックでありながら、落ち着いた大人のクラシックな服地が、です。当店が見つけて来たのは、’60年代後半〜’70年代に英「テイラー&ロッジ」で織られた、〈ラムズゴールデン・ベイル〉の初期モノ。傑出した紡績技術から生み出されるこの毛糸は、初期モノとなれば弾力性、耐久性ともに後年の製品を凌駕しています。また、クラシックでありながらも、その色目にも注目してください。グレイベースのブルー×オレンジ、ブラウンベースのブルー×オレンジといった現代ではあり得ない構成を楽しむことができます。程良いピッチのオルタネイト・ストライプにも注目です。通好みのヴィンテージ・ストック服地の中でも、二度と出会えることのない品質の組み合わせ。春先を射程にしたご注文のスーツ服地候補として、いかがでしょうか。
服地Data :「テイラー&ロッジ」ヴィンテージ・ストック服地(’60年代後半〜’70年代)/ウエイト340g/ラムズゴールデン・ベイル」/オルタネイト・ストライプ(グレイベース ブルー×オレンジ)
▇ フォーマルは、最小コストで最大効果。
日本においては、「慶事(けいじ=祝い事)」と「弔事(ちょうじ=お悔やみ事)」双方の公式な場で着用できるのが、略礼装であるブラック・スーツです。成人し、働き始めた頃には冠婚葬祭用として黒いスーツを準備された方も多いのではないでしょうか。ただし、平成になる頃からブラック・スーツをリクルートやオンビジネスで着る風潮が広まり、現在でもビジネスにもフォーマル(公式の場)にも着用している人が少なくありません。しかし、これは大きな間違いです。黒いビジネススーツは平服(正式な服装ではない)であり略礼装ではありません。では、平服と略礼装ではどこが違うのか。略礼装は公式な場で着ることを前提としていますので、服地やディテールが異なります。ドスキン、バラシア、タキシードクロスと言った本格的な礼服に採用する服地を使い、ディテールにもフォーマルウエアとしての様式があります。実はこの略礼装のブラック・スーツですが、コールトラウザーズやオッドベストを組み合わせることで、準礼装のディレクター・スーツにも拡張でき、コーディネートのバリエーションが増え、あらゆる公式の場に対応させることが可能になります。このように、バタクでは日本において最大効果を得られるフォーマルウエアとして、ブラック・スーツとディレクターズ・スーツの併用・組み換えをオススメしております。
お問い合わせ:バタク日比谷 03-5510-6902
▇ 「バタク・クロス」で経年変化を楽しむ。
ビスポーク・スーツとは、長年の着用を通じて “経年変化を楽しんでいく衣服”であると考えています。経年変化には「劣化していくもの」と「成熟していくもの」があり、「成熟させること」にこそビスポーク・スーツを着る醍醐味があるのではないかと思っています。経年変化がもたらす雰囲気は、生活を通じて、時間が経てば経つほど味わいに違いが生じて来るものなのです。仕立てた当初よりも、さらに、着ているお客様を素敵に見せてくれます。そのような変化を味わうには劣化し難い耐久性のある服地で仕立てることが絶対条件となります。私どもが展開しているオリジナル服地「バタク・クロス」は、品質の追求に対しては手間暇かけることを惜しみません。20世紀を牽引してきた、低速織機が生み出す丹念な風合い。上質な毛糸特有の、自然な膨らみをスポイルしないこと。それらが耐久性のある、打ち込みの良い服地として織り上がっていること。英国以上に英国的な服地を目指す「バタク・クロス」。ビスポーク・スーツのための、経年変化を楽しんでいただける服地です。
▇ バタクの特別注文で、廃版復活。
良いモノはお金が掛かっています。時にコストをかけ過ぎ、廃版となる商品もあります。「ラヴァット・ミル」が製造していたヘビーウエイト・ツイードをご記憶ですか。チェビオット種のラムズ・ウールのみを使い、梳毛・紡毛の各製法で紡いだ毛糸をツイスト(撚糸)させます。非常に凝ったプロセスでつくられていたためコストが膨らみ、現在では廃版となっております。元々は乗馬のジャケット用に開発されたツイードだけあって、耐久性と独特の滑らかさがあり、600gのウエイトながら身体に馴染みやすいという特徴があります。一般的なヘビーウエイトのツイードは馴染むまでにおよそ3年。このツィードなら1年目から身体との馴染みが良く、大きめのゆったりとしたボディ胸部には美しいドレープが表れるほど、リラックスした大人の雰囲気が楽しめます。ちなみに店頭在庫は残りわずかです。
▇ グレイ以外の「フラノ」はいかがでしょう。
冬のトラウザーズ単品のご注文と言えば、厚手のウール・フランネル地である「フラノ」が筆頭に挙げられます。ジャケット&トラウザーズの組み合わせにはなくてはならないアイテムだけに、すでに何本かお持ちのお客さまも多いはずです。中でもグレイの「フラノ」はネイビーやチェック柄などのジャケットに適合しやすいため、こだわるお客さまが冬の定番トラウザーズとして選んでいます。そこで、スーツ選びと違い、色合わせなどで気を付けたい選択ポイントがいくつかお伝えしておきます。まず、服地は膝が出にくいコシと紡毛(ぼうもう)らしいハリのあるものを。やはり英国製がオススメです。フィッテング(裾の設定)はハーフクッションまたはノークッションをお選びください。厚みと重みがある「フラノ」の場合、ワンクッションでも裾にたまった感じが出てしまい収まりが悪くなります。ノークッションにしても普通は裾がヒラヒラしてしまい決まりが悪くなるのですが、「フラノ」のような重さと厚みがある服地の場合は、クッションが少ない方がキレイな裾処理が可能になります。さて、グレイ以外の「フラノ」はどうでしょう。ブラウン、ブルーグレイなどもアンダーステイトな色ですので、上着を引き立てる効果が期待できます。また、グレイの因襲から抜け出ることで、オフウエアとしての「フラノ」の味わいに新鮮さを加えることも可能になります。
写真上)「ボアー・ローバック(ブルーグレイ)」/紺や黒のジャケットの組下にオススメです。
写真下)「アーサー・ハリソン〈フラキソニー555〉(オリーブ)」/ツイードジャケットの組下にオススメです。
▇ ブラックを、楽しもう。
かつて日本人はブラックという色に対して、偏見を持っていたようです。たとえば、結婚式の2次会にグレンチェック・スーツとブラック・タイを組み合わせたスタイルで出席しようものなら、大ひんしゅくを買ったものです。葬祭の色調だと決めつけられて来たブラック。それが今や新卒の学生が買い揃えるリクルート・スーツの標準色になっているのはご存知の通り。ただし、「ブラックを楽しもう」という気分よりもフォーマル・ウエアに見る社会性に共感した選択だと言うことは明白でしょう。とはいえ、ブラックの着方は多彩です。黒色の持つ重厚で厳か(おごそか)な印象だけでなく、よりリラックスしたオフの色調にも活用できるポテンシャルを秘めています。写真のように柔らかな素材感を持つブラック・カシミアの場合はそれが顕著で、タッターソールのウエストコートや、上質なニット・ウエアと組み合わせるだけで、都会の並木道を散策しているイメージを楽しむことができます。お試しになられてはいかがでしょう。
※写真) カシミア100%の高級フランネル。やや茶色がかったブラックに、彩度が一切ない。ウエストコート用のタッターソールはコットン100%。
▇ 店頭在庫の情報に、耳をかたむけて。
テイラーで洋服を仕立てる場合、店頭に服地(1着分以上)を用意しているケースが通常ですが、店頭にあまた並んでいるバンチブック(見本帖)を見比べながら注文服地を決定するケースも増えて来ています。バンチブックを使うと非常に多彩な服地見本から選べるので、効率的ですし服地選びの満足感も得られる点が魅力です。一方、着分にカットされた服地を使うと、仕立て上がりのイメージがつかみやすいという安心感があると同時に、服地メーカーではもう作ってはいないレアな服地を探すことができます。どちらがいいかはお客様次第ですが、通(つう)になると店頭在庫の出物情報に耳をかたむけている方が少なくありません。たとえば、「ゴールデン・ベイル」の毛糸で織った珍しいコート専用服地。織り元は「テイラー&ロッジ」。終売品ですので、お品はこれ1着分だけ。シャドーヘリンボーンの単色。仕様は申し分ありません。希少で貴重。そんな服地が店頭には定期的に入荷します。いまこの瞬間にもキープが入っている可能性があるかもしれませんので、店頭までお問い合わせを。(写真)「テイラー&ロッジ」コート専用服地。〈ゴールデン・ベイル〉。メーカー(ミル)終売品。
▇日本人に似合うチェスター、できます。
チェスターフィールド・コートは小柄な日本人には似合わない。かねてより、よく言われて来たことです。本当でしょうか。たぶん、本当です。ただし、既製品という枠組みで考える必要があります。既製品のチェスターフィールド・コート(以後チェスターに省略)にも当然型紙があります。それは理想体型をベースに裁断されています。ベストバランスをつくるためにです。しかしここに落とし穴があります。スーツのようなシルエットが特長的なチェスターの場合、既製品のサイズ調整である膝丈・袖丈の直しを加えると、そのベストバランスが崩れてしまい、何となく合っていない印象になってしまうのです。小柄な日本人の場合はそれが顕著で(最近は痩身で背丈のある人が増えていますが)チェスターは似合わないと誤解されて来たわけです。しかし、オーダーによるチェスターなら、フィットの強いものから、ドレープの効いた大人の雰囲気を持つものまで、補正を含めお客様のベストバランスでのお仕立てが可能になります。かくしてチェスターは、注文仕立てにおいては今や日本人にも似合うコートへと変質していたのです。
▼きりつとしたフォーマルはもちろん、オフ用のコートととしても存分に楽しめます。
▇バンカーたちのストライプ。
産業革命前夜には世界最高の債務国であったイギリスが、その後世界トップの債権国家になったのは、海外貿易における金融を担ったマーチャントバンカーの役割が大きいと言われています。ロンドンのシティで活躍した彼らの多くは、ストライプのスーツを好んだことから、ピンストライプ、ペンシルストライプ、チョークストライプなどをバンカーストライプと呼んでいるようです。バンカー(銀行家)たちがなぜストライプ・スーツを好んだかについてはおそらく彼らがユダヤ系移民であった同族意識と、無地に比べて高値のスーツを買える実入りの良さを示すため、といった理由が想像できます。ストライプ・スーツのストライプ幅の狭い・広いで印象は変わりますが、それが対人・対外的に機能しているかについて推し量るのは難しいかもしれません。ただし、ひとつ言えることは単色ではないことで、プレミアム感が容易に出せることです。金融業界を描いた映画を観ると、出世していく過程でバンカーはかならずストライプ柄を着るようになるからです。
▇ 銀座のトレンチ。
バタク日比谷店の目と鼻の先、銀座コリドー街にかつて「チロル」という洒落た店がありました。主な商品はチロリアン・ハットや同地方で織られるセーター、ニッカーズ、縮絨のチロリアン・ジャケットなどヨーロッパの山岳地方の衣料、中でも日常で着ても違和感の少ないものを取り扱っていました。常連には山口瞳、伊丹十三、麻生太郎、開高健など’60年代初頭の洒落者がおり、ヨーロッパ直輸入のセンスを競い合うように楽しんでいたと言います。その「チロル」の看板商品のひとつにトレンチコートがありました。近隣の銀座界隈をぶらりと歩く洒落者の間でも話題となったアイテムです。購入はパターン・オーダーで、当時の価格が約18万円。軍装よりも雨具としての機能にこだわったデザイン。たとえば、肩の銃床当てを完全に雨よけのショルダー・ヨークにアレンジするなど、男の機能志向を刺激する作り込みは他を圧倒していたと言います。すでに(’70年代の終わり頃)「チロル」は閉店していますが、1店舗ながらオリジナル・トレンチコートの発信力・影響力は多大で、当時銀座を物語るアイテムとして語り継がれています。バタクのオリジナル・トレンチコートもそんな伝説の「銀座のトレンチ」にならんことを願って今年も作り続けております。
バタク オリジナル・トレンチコート
サイズ:34,36,38,40,42
素材:高密度コットン100%(撥水・耐水性)
カラー:ベージュ、カーキ、ネイビー
▇ 店舗統合のお知らせ
平素より当店をお引き立て賜り、お礼申し上げます。
このたび、私どもバタクでは「バタク日比谷」および「バタク御苑」の2店舗を、下記の通り統合いたします。それに伴い、令和2年10月30日(金)をもちまして「バタク御苑」を閉店させていただき、すべての業務を「バタク日比谷」へ移管いたします。
これからも引き続き、唯一無二のビスポーク・テイラーを目指し、お客様のご要望にお応えしてゆく所存でございますので、なにとぞ変わらぬご支援、お引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
記
【統合日】令和2年11月1日
【廃止店】バタク御苑
【継続店】バタク日比谷
*令和2年10月31日(土)、「バタク日比谷」は店舗統合準備のため臨時休業日とさせていただきます。
*令和2年11月より「バタク日比谷」では日曜日の営業を再開いたします。なお、引き続き水曜日は定休日とさせていただきます。
▇ 限定生産、アクア・ロック。
ロンドンの古着マーケットでも、もう滅多にお目にかからなくなった「アクア・ロック」。当店オリジナル生産の高級将校用外套はそのリメイクです。こちらはレアなアイテムだけに、密かに売れ続けており、お客様からの仕様に関するご要望も少なくありません。そこで今回はオリジナルに手を入れやすい新色を“限定少量生産”してみました。お色はベージュ。コート地はネイビーと同じウールギャバディン(ウール75%・コットン25%)。軍正装ならネイビーですが、普段、都会で着るならベージュ(サイズは36のみ)も新鮮です。少量生産のため、ご購入はお早めに。
サイズ:34,36,38,40,42
▇100gの違い。バタク・クロス
先回に引き続き「バタク・クロス」のウーステッドについてご案内したいと思います。生産地やメリノの毛糸、スーパー100’sの長繊維毛糸などの特性は先回同様ですが、こちらのお品は、400gの目付でお揃えしました。経2/80双糸のスーパー100’s(通常は300g)のダブルクロスです。経糸のセッティングを通常の1.7倍(410g)にした結果の目付となります。この希少なセッティングにより、密度があり、ふっくらと弾力性に富む風合いに織り上げることができました。しかも、スーパー100’sの長繊維糸を惜しみなく使用し、結果コスト高になりましたが、費用対効果に優れた最高の服地に仕上がっています。同様のクオリティを求めても、おそらく英国やイタリアを探しても類似のお品はございません
▇なぜ、〈コットン・カシミヤ〉のスーツ?
当店のオリジナル服地「バタク・クロス」には、大手の服地商では作られない珍しいお品があります。その一例がコットン地にカシミアを混紡したスーツ用服地〈コットン・カシミア〉です。コットンの丈夫な素材感を活かしつつ、同素材の弱点=手触りの硬さ、シワになりやすい性質、ウールに比して保湿に劣るところなどを改善しました。極めて少ないカシミアの混率ながら、十分にその目的は達成していると考えています。コットンにウールのみを混紡したケースでも多くの人は、コレで十分だと思われるかもしれません。ただし、着用機会を増やしていくうちにカシミアの混紡率がスーツのドレープに、またスーツの着心地の良さに、奏功していることに気がつくようになります。コットン・スーツに見えて、コットン・スーツ以上に豪奢な気分を楽しめる〈コットン・カシミヤ〉。「小洒落た」という形容がありますが、まさにそんな仕立て上がりが期待できるビスポーク・スーツ。この機会にご注文ください。
▇ オススメします。バタク・クロス
テイラーが求める実用性や耐久性(ビスポーク・スーツはおよそ30年は着用される)、仕立て映えの美しさ。バタクが理想とするこれらの要件を満足させた高級注文服地。それが、「バタク・クロス」です。旧来の英国製服地の持ち味に近い、ドレープ感に富むしなやかさ。優雅でありながら、リアルなビジネス・シーンでの着用に応えられる価格。高級注文服地のスペックでもある、長繊維“スーパー100‘s”。そして、高級ウーステッドには欠かせない羊毛メリノ種。あらゆる角度から、あるべき紳士服地の理想を求めたメイド・イン・ジャパン。明治以来続く毛織物の産地、「尾州」に伝わる技の数々。服地選びで迷ったら、「バタク・クロス」をご指名ください。
写真上側:ネイビー300g/写真下側:ブルーグレイ300g
▇グレイを、楽しもう。
「グレイ」のビスポーク・スーツと一言で括るには種類が多彩であり、服地を選択される場合でも各々に説得力のある理由を見つけることなど容易ではありません。海外では富裕層や役員を務めるビジネスエリートが着用している、との風聞がありますが、それには具体的な根拠があるわけではないようです。ではなぜ多くの人が「グレイ」を選ぶのか-−。黒に近いグレイから明るいグレイまで、多彩な表情を楽しむことができるのはこの服地ならではの魅力です。たとえば、明度の違いだけで組み合わせるモノトーン・スタイル。チャコールグレイのスーツにブラックのネクタイ、そして白いシャツ。1960年代の仏映画でよく観られた簡素な男の美学。「グレイ」の持つドラマチックな映像を人々に印象づけました。他にもドット柄やストライプ柄といった「柄とグレイ」の応用は職業を表す記号にもなっています。また、人と対面する場合、「グレイ」には余計なイメージを持たせない効果があると、服飾専門家から指摘されています。さて、あなたはグレイのスーツを何着お持ちですか。できれば、明・中・濃の3着は揃えておきたいものです。
写真左:離れて見るとグレイ。紡毛を得意とする「バウワー・ローバック」のバーズアイ。ドットパターンが織りなすグレイ表現にハッとさせられます。
写真中:渋いグレイ。モノトーンの切れ味。「ラムズ・ゴールデンベイル」の糸で織ったロンドンの服地商「ウエイン・シール」の’70年代ビンテージ・ストック品。
写真右:濃いグレイ。ブラックに近いチャコールグレイ。「ラムズ・ゴールデンベイル」の糸で織った「テイラー&ロッジ」のストック品。
▇ 店頭スタッフがほしいと叫ぶ、FOXのフランネル。
フランネルの中でも格別の扱いを受けているのが「フォックス・ブラザーズ」です。紡毛毛織を得意とするその技術力は、改めてフランネルのすばらしさを再認識させてくれます。おそらく、次もフランネルで衣服を仕立ててみたいと思わせる美学が「フォックス・ブラザーズ」には健在だからです。写真上のコレクション〈ロンドン・ラウンジ540g〉を手にとって見てください。この製品(ブルーグレイ)には
理屈を飛び越えた不思議なパワーが感じられます。ウエイトのある往時の香しい素材感が、現代の服地であることを忘れさせます。時代文化を思い起こさせるという意味のヘリテージをテーマにしたのが、写真下のコレクション〈ヘリテージ・フランネル480g〉です。まるでビンテージストックを再現したかのような味わい深さ。フランネルのグレナカートは仕立て上がったばかりなのに数年着続けた風合いを感じさせます。
(写真左)ブルーのウインドウペンをあしらったチェック。
(写真右)茶系のグレナカート。よくできた服地は着る人を知性的に見せてくれる不思議なパワーが存在しているようです。
▇ これでもか、これでもか。
先回に続き、究極の服地を使ったお仕立をご提案いたします。一つは、しなやかな高級スーツの指標でもある「スーパー」、すなわち長繊維の服地です。繊維長が長ければ、織り上がった服地は柔らかさを持つ反面、耐久性にも優れます。ご提案する「スーパー170’s」となると、その「しなやかさ」は上級品質のカシミアに匹敵します。
写真左)
高級服地と言えば英「ホーランド&シェリー」のバンチ〈ヘンリー・パーク®〉。スーパー170’sの超長繊維には高級品が醸し出すオーラがあります。お仕立価格についてはお電話でお問い合わせください。
写真右)
いわゆるトニックを想起させるシワに強い強撚糸服地。織り元はモヘアを織らせば英国トップの「ウイリアム・ハルステッド」。素材感は抜群の蘇生力とパリっとしたモヘアのハリが見事。高級素材かくあるべし、の色ツヤにもご注目ください。
▇ 非日常のスーツ。〜T&Lの〈ミリオネーア〉〜
誂えでスーツを作ることが当たり前の人にとって、スーツは特別なものではありません。人生を楽しむ服の一つと言えます。頻度の切り口から言えば、ビジネス・ウエアとしてのスーツは日常着以外何者でもありません。それは、人生を支える服です。さて、スーツにはもうひとつの顔があります。素材・つくり・工程において、その理想を貫いたものです。価格も、販路も、売れ行きも関係ない。服地の作り手が、ただただ作りたくて作ったスーツ。品質に対する作り手の想い。手作業が生み出す驚愕の積上げ価格。服地商やテイラーの要求に追随する気風など微塵も感じられない姿勢。私たちバタクでは、そんな突出した服地から誂えるスーツを「非日常のスーツ」と呼んで、着ることにこだわるお客様のために常時ストックしております。注:お値段を問合せしてからご来店ください。
写真:現在は生産されていないテイラー&ロッジ(T&L)の 〈ミリオネーア 〉。サマーキッドモヘア55%/カシミア32%/シルク13%の混率。服地作りの専門家たちが理想形を求めた究極のブレンドです。現行在庫はブラック(左)とネイビー(右)。仕立て上がりが楽しみなお品です。
▇ハウンドトゥースは、オシャレ着です。
ハウンド・トゥースおよびシェパード・チェックの店頭在庫から、生産時期違い、ウエイト違い、柄違い、素材違いをピックアップしてみました。これらのチェック柄はカントリー・スタイル ジャケットの定番としてお選びいただけますが、服地によっては都会的かつモード感も備えた組み合わせにも活用できる点にご注目ください。その証拠にスーパーブランドのコレクションにはシェパード・チェックが再三再四登場しています。テイラーメイドの場合、組み合わせのパンツは柄が際立つため、単色の目立たないものをお選びください。ドレープ感が際立つ仕立て上がったジャケットを着てみると、予想を上まわるのオシャレ感に驚かれるかもしれません。都会で着るチェック柄として是非、トライしていただきたいと思います。
[写真上から]
英「ラヴァット・ミル」。これはビスポークで作っていただきたい服地です。「ラバット」らしい服地の張り感は、なかなか真似のできないロンドン仕立てを裏側から支えています。
[写真中]
シェパードチェック。500g(ヘビーウエイト)のピュアウール。柄立ちが良く、強い織布感が特徴的。非常に完成度が高いバタクの特別注文品です。
[写真下]
イタリア製のヴィンテージ服地。450gのウエイト。英国製のハウンドトゥースに派手さがある一方、こちらのイタリア製は英国製よりも地味なところがユニークです。在庫は1点限り。これが最後の蔵出しです。
▇ カバート・コートを仕立てませんか。
ウールコートの中でも比較的守備範囲が広く、コート地の選択仕方で、ビジネス、準フォーマル、オフまでカバーできるのがカバート・コートの良さと言えます。基本となるコート服地はツイード地の派生でもある「カバート・クロス」です。ご注文時にはコートとしてはやや軽目のウエイトをお選びください。軽さはそのままフィット感のある仕立てを可能にし、狩猟・乗馬用を出自とするこのコートに都市的なフレイバーを与えてくれます。ご推奨する服地としては紡毛服地を得意とする英「ラヴァット・ミル」のコート専用服地。オススメする色柄としては、クラシックを追求したベージュ系(襟には隠蔽布、ベルベット等をお使いください)。普段のビジネスやオフにも適応するグレイ系、そして準フォーマルまでカバーできるネイビーを店頭在庫しております。
▇ ラムズ・ゴールデン ベイルのヴィンテージを選ぶ。
ヴィンテージ服地の価値は、「稀少性」と「作られた時代にしかない品質」にあると考えます。洋服にこだわる方、あるいは趣味の領域で注文仕立てを楽しまれている方でもそれ以上の要件を求める方はそう多くはありません。しかし、さらに突き詰める方のご要望にお応えできるお品が存在します。たとえば、ヴィンテージの「ラムズ・ゴールデン ベイル」。ノンヴィンテージの服地でさえも希少・高級服地として流通しているのですから、それがヴィンテージとなれば、お好きな方にとっては「即、手付け」の商品であることは言うまでもありません。現代にはない希少な色柄。手をかけた織布の品質。見事な弾性を生み出す糸。「テイラー&ロッジ」の工場で織った60年代の「ラムズ・ゴールデン ベイル」(360g)。スーツのお仕立てにご用命ください。
▇ 夏季休暇のお知らせ。
日頃よりbatakをご愛顧いただき、ありがとうございます。また、たくさんのご注文およびバックオーダーをいただき、御礼申し上げます。つきましては、皆さまに夏季におけるbatak各店舗の休業日をお知らせいたします。
batak 御苑店 8月2日(日)~8月6日(木)
batak日比谷店 8月9日(日)~8月13日(木)
batak 大阪店 8月23日(日)~8月27日(木)
納期の詳細などについては各店舗までお問合せください。
▇ 超高級素材で仕立てる、オフスタイル・ジャケット。
超高級服地の良さは、着て行くうちにジワジワと実感できるものです。たとえば、「エスコリアル」や「カシミア」。見ると思わずほしくなる。で、思わずサイフの中身をのぞいたり、クレジットカードの残高を確認したりと気もそぞろ。とはいえ「良いモノは良い」の格言は間違いなく、「エスコリアル」にしても「カシミア」にしても価格を上まわる価値を手に入れることができます。どちらも希少な羊毛で、極細繊維を特質としています。希少種という面では「エスコリアル」の方にやや軍配があがります。柔らかさ・しなやかさが仕立てに及ぼす影響は著しく、着ていることを忘れると言っても言い過ぎではない超高級素材感を味わってみませんか。カントリースタイルのジャケットお仕立てにいかがでしょう。
写真左:「エスコリアル」ラグジュアリーウーステッド /ジャケット用390g_千鳥格子
写真右:「カシミア」80年代のヴィンテージストック/ジャケット用320g_グレンチェック
▇ 艶(あで)やかに、際立つ男のグレナカート。
イングランドから見ると、スコットランド人というのは気性の激しい気質だと考えられてきました。確かに酒と女が好きで、スピードと博打にのめり込む破天荒な輩が彼の地には多いのでしょう。そんなスコッツたちが好んで着る色柄が、ご当地で言うグレナカート、すなわちイングランドで言うグレンチェックです。初期のジェームズ・ボンド映画には彼が生粋のスコットランド人であることを示すかのように、細かなグレナカート柄のスーツで度々登場しています。グレナカートという色柄はネイビーやグレイに比べ、控え目ではありません。むしろハイファッションの色柄に分類しても違和感のない艶やかさがあります。ですから、ビジネスで着る場合は、何かしらの意図を持って選択するか、アフターファイブのスーツやジャケットとして仕立てられるのが常道と言えるかもしれません。ちなみに、柄が大きいほど着飾るような場面にふさわしく、柄が小さいほどビジネスや公式の場に適していると言えます。
写真左:英「スコフィールド&スミス」360g 茶系
写真右:英「ホーランド&シェリー」シティ・オブ ロンドン 420g グレイ系
映画「セント・オブ・ウーマン」でアルパチーノが着たスーツ地に酷似してます。
▇ スーツを趣味で着こなす方へ。ヴィンテージ・ドーメル
バタクではスーツやジャケットを趣味のレベルで追求されているお客さまのために、非常にレアな服地や年代物のヴィンテージ服地などを常に品揃えしております。現代の服地にはない独特な色柄や織り方を楽しんでいただけます。製造はヨーロッパの老舗「ドーメル」(写真左と写真中)。ウール+モヘアに加え、当時シワ対策として混紡していた「テリレン(現代のポリエステル)」の糸が時代を感じさせます。色々な色糸をミックスし、織り傷にも似たスラブやネップが表面に立つ雰囲気は、映画「ゴッドファーザー」に登場するスーツを彷彿とさせます。なお、スラブの入ったシルク100%イタリア製ブルーシャンタン(写真右)のヴィンテージものも見つけました。いずれの服地も1点限り。売り切れ次第、終売となります。店頭在庫・価格、お仕立てグレードについては各店にお問合せください。
▇ 夜風が気持ちいいシャツ。
家で過ごす時間はまだまだ減りそうにありません。家で仕事をする場合、やはり切り替えが必要です。空間はオフでも、気持ちはオン。暑さをしのぐだけでなく、他人に対して爽快感を与えるような服装でテレワーク(ズーム会議など)に臨みたいと思います。コットン、リネンを揃えたバタク・オリジナルの「カリビアン・シャツ」。カリブ海域の避寒地、ジャマイカ、ミステック、ケイマン、バルバドス・・。北米やヨーロッパの富裕層がこれらの島々に別荘を持ち、休暇を過ごす時に着た装いをベースに仕立てたリゾート・シャツです。そうそう、夜風が心地良くなる火点し頃には、ラムやウォッカのカクテルがよく似合うシャツかもしれません。ネイビー(リネン)、ホワイト(生成りのコットン)、ダークネイビー(リネン)をご用意しました。サイズ、価格についてはバタク各店までお問合せください。
▇ コートのご注文なら、「初夏」。
晩秋から初冬にかけて、衣替えが本格化する前に冬物が仕立て上がっている。これ、理想です。すなわち、コートをご注文いただく上でベストなタイミングは「初夏」。コートのスタイル選びも、コート地選びも余裕がありますので、何回か来店いただきながらご注文を煮詰めていただくことも可能です。クラシック・ラグラン コート(※)、チェスターフィールド・コート、カバート・コートなど、メイドトゥメジャーおよびビスポークでご注文いただけるコートの服地を豊富に在庫しておりますので、是非、このシーズンを逃さぬようご検討ください。写真は、チェスター・フィールド コート用にご用意した英「テイラー&ロッジ」のヘリンボーン柄(560g)。高級素材〈ラムズ ゴールデン・ベイル〉です。ダーク・ネイビーとチャコール・グレイがございます。一生モノのコートが仕立て上がります。コートお仕立て価格については、お電話で各店へお問合せください。
※クラシック・ラグラン コートはメイドツゥメジャーのみ
▇ 大人を“愉しむ”、ジャケットを仕立てる。
年齢を重ねていくごとに似合ってくるのが、格子柄のジャケットです。歳で言えば、脂の乗りきった40代〜50代。シニアに多く見受けられる枯れた感じの着方ではなく、ミドルエイジの抑制が効いたオトナの風情。お仕立てになるなら、胸のドレープをたっぷり取ったバタクが得意とするイングリッシュ・ドレープのジャケット。なお、店頭のストックヤードにはオフ・ビジネスに着てみたい色柄の夏にふさわしいジャケット地を多数お揃えいたしました。
左から:
・英「スミス&ロンバード」|70年代ヴィンテージ/ライト・グリーン 格子柄 250g
・英「ウエイン・シール」|70年代ヴィンテージ/ライト・グレイ グレンチェック 260g
・英「W.ビル」| ヴィンテージ 三者混(ウール×シルク×リネン)/ベージュ 格子柄 280g
・英「ラモージ」|ウール×リネン/ブラウン グレンチェック 280g
お仕立て価格については各店へお電話でお問合せください。
▇盛夏に着る、定番の「バタク・クロス」。
いよいよ夏本番。清涼感のある“夏服地”を店頭に取り揃えました。なかでもオススメなのが、オリジナルの「バタク・クロス」シリーズです。お客さまの様々なご要望を想定した色柄・織り。オン・ビジネスから趣味性を強調したものまでバリエーションは豊富。たとえば、「コードレーン」、「ウール×リネン」、「メッシュ」など。日本の夏に適した機能性や涼感はもちろん、大人の趣味領域をも満足させるテイスト。厳しい暑さのなかでも背筋がピンと伸びるような着心地を。スーツはもちろん、ジャケット&トラウザースをお仕立ていただく際にもどうぞ。定番、夏の「バタク・クロス」。今年もサラッと着飾る夏をお過ごしください。
写真上より/下段左より
1)コードレーン(綿100%) ホワイト×ネイビー 265g
2)ウール×リネン(ウール54% リネン46%) ベージュ 252g
3)ウール×リネン(ウール54% リネン46%) ネイビー 252g
4)ウール×リネン(ウール54% リネン46%) ブルーグレイ 252g
5)メッシュ(ウール73% モヘア27%) ネイビー 290g
6)メッシュ(ウール73% モヘア27%) ダークグレイ 290g
7)3plyエアー(ウール100%) ライトグレイ 280g
バタク日比谷、バタク御苑は5月30日(土)より営業を再開いたします。
http://batak.jp/2020/05/information/11351/
http://batak.jp/2020/05/tailors/11336/
コラムに「将校たちの服」を投稿しました。お読みください。
5月18日(月)よりバタク大阪店の営業を再開いたします。
http://batak.jp/2020/05/news/11328/
コラムに「成熟と着る」について投稿しました。
http://batak.jp/2020/05/tailors/11295/
コラムにビスポークに関する話題を投稿しました。
http://batak.jp/2020/04/tailors/11254/
コラム原稿を追加しました。
http://batak.jp/2020/04/tailors/11246/
http://batak.jp/2020/04/tailors/11238/
コラムを追加しました。
▇ 「臨時休業のお知らせ」
2020年4月7日に発令された「緊急事態宣言」に基づき、batak日比谷店、御苑店、大阪店では4月9日(木)より当面の間、臨時休業いたします。お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。なお、営業・受注再開については当店のブログ、SNS等でお伝えいたします。
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Chiyoda-ku, Tokyo
営業時間
月曜日 | 11:00 - 20:00 |
火曜日 | 11:00 - 20:00 |
木曜日 | 11:00 - 20:00 |
金曜日 | 11:00 - 20:00 |
土曜日 | 11:00 - 20:00 |